Ph+ALL日記

フィラデルフィア染色体陽性白血病と闘うIT労働者の記録

入院20日目

2016年12月31日(土曜日)

便秘解消

酸化マグネシウムはテキメンに効果あり.朝食後から腹痛に見舞われたが,その後スッキリした.

血液検査

定期的な血液検査の主な結果

  • ALT: 66 (H)
  • ALP: 413 (H)
  • WBC: 2.46 (L)
  • RBC: 2.42 (L)
  • HGB: 8.0 (L)
  • RETI%: 2.67 (H)

肝臓の数値は持ち直した.ヘモグロビンが一旦下がってから上りかけている(RETI%を見ると赤血球は増産中)だが,安全を見て赤血球を2単位輸血することに.

患者同士の会話

同室のお隣さんと会話.病気の話,家族の話,仕事の話.

同じ病棟で別室の患者さん数名とも知り合う.造血幹細胞移植*1GVHD*2,退院後の再発検査などについて教えてもらう.

入院19日目

2016年12月30日(金曜日)

便秘傾向

今週の初めから少し便秘の傾向が続いている.お腹の動きが少ないということで,2日前に大腸刺激性の便秘薬(プルゼニド12mg 2錠)を1度服用し,お腹の動きは出てきた.しかしまだ十分ではないということで,新たに酸化マグネシウム錠(330mg/回)を処方してもらった.大腸内に水分を引き込む作用がある*1.後で述べるように,ダサチニブを邪魔しないように服用する.

ステロイド剤の副作用とダサチニブの効果

担当医からもうステロイド剤とダサチニブの副作用・相互作用について少し教えてもらった.

現在,ステロイド剤(プレドニン錠)を110mg/日大量服用している.合わせて胃酸を抑える胃薬タケブロンも飲んでいるのは,ステロイド剤の副作用により高い確率で胃潰瘍が起こるためで,どうしても胃酸は抑えておく必要がある.一方,ダサチニブ(スプリセル)は胃のpHが低い(酸性の)方がよく吸収される.

もう一つ,便秘傾向になっているのはステロイド剤の副作用で糖尿傾向が出ていて,それが大腸内の水分を吸い出している為かもしれない.便通を良くするためにマグネシウム剤を服用すると,これも制酸作用があり,ダサチニブの効果を阻害する.

今後,スプリセルの効果を十分引き出すためには,これらの微妙なバランスを取っていく必要がある.年明け1月6日ごろから,様子を見てステロイド剤の量を減らすかもしれない.

iPad holder

ベッドテーブルにこんなの*2を設置してみました.寝ながらHulu見放題.完璧.

病院からは今の所何も言われていない.見逃してください.

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入院18日目

2016年12月29日

今日は予定なし.

ステロイド剤の副作用の仕組み

ステロイド剤と糖尿病の関係について調べてみた.

ステロイド薬の主な成分はグルココルチコイド(糖質コルチコイド)です。グルココルチコイドはインスリン拮抗ホルモンでもあり、肝臓での糖新生蛋白質を糖に変換すること)を促したり、インスリンに対する感受性を低下させて末梢組織での糖利用を妨げる働きをもっています。すなわち、ステロイド薬は血糖値を上昇させる作用をもつので、高血糖をきたし糖尿病を悪化させるおそれがあります。*1 

インスリンが血糖値を下げる(唯一の)ホルモンであるのに対して,インスリン拮抗ホルモン(counter-regulatory hormone)はその逆の効果を示すホルモンということ.インスリン拮抗ホルモンには4種あるが,ステロイド剤はその一つグルココルチコイドの一種で,肝臓で新しい糖を作る(糖新生*2 )ためのシグナルとなる.

ということで,糖尿はステロイド剤の典型的な副作用であると考えられる.担当医によると,患者の体質によって,この副作用が強く出る人と,ほとんど影響のない人がいるようだ.

便秘薬

お腹の動きが悪いので,大腸刺激性の便秘薬「プルゼニド12mg*3」を2錠,就寝前に服用.

入院17日目

2016年12月28日(水曜日)

快晴の朝.西の方角に見えていた丹沢山系の向こうに,真っ白に光る富士山を発見. 

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朝に血液検査.午後に心エコー検査.

検査結果
  • ALT: 83 (H)
  • ALP: 415 (H)
  • WBC 2.25 (L)
  • RBC: 242 (L)
  • HGB: 7.9 (L)
  • PLT: 8.6 (L)
  • RETI: 2.77% (H)
  • BLAST: 0.0%

肝臓の数値は落ち着いている.白血球数,血小板数は低い.BLASTは確認できない.網状赤血球の割合(RETI%)が高く,赤血球を増産しようとしていることが見て取れる.しかしヘモグロビンの数値が下がってきているので,継続モニタして7を下回った場合は,赤血球の輸血を行う.

上記結果外だが,糖尿傾向は続いているらしい.

心エコーに問題なし.

来訪者1

午後,会社の同期友人2名が手土産に雑誌を数冊持って来訪.世間話イロイロ.気が紛れて良い.無駄話.

来訪者2

上司が来訪.病棟内で教授と面談.その場でのディスカッションのメモ.

私の白血病は以前は最も難しいタイプであったが,まさにゲノム解析のおかげで分子標的薬ができて,劇的に治療法が進歩した.すでに標準的な治療方法が確立している.

人工知能で新たに同じような新たな治療法を開発することも大切だが,一般に影響が大きいのは,もっと基本的な検査結果から予後を推定すること.例えば普通にそして安価に実施している血液検査の時系列からの予測.それができれば,特殊な病院でなくても質の高い医療が提供できるようになる.これを人間の能力で実施するのではなく,人工知能で網羅的・最適にできないか?

入院16日目

2016年12月27日(火曜日)

環境が新しくなったせいか,せっかく点滴が外れていたのにもかかわらず,少し寝つきが悪かったような気がする.

こちらでも以下の薬を継続して使用する.

  • プレドニン錠(110mg/日): ステロイド剤.朝昼の食後に半分ずつ
  • スプリセル(140mg/日): 分子標的薬.朝食後
  • ジフルカンカプセル(200mg/日): 真菌感染症予防.眠前.
  • タケブロン:  胃酸を抑える薬.眠前.
  • バクタ配合錠: 最近感染症の予防.眠前.
  • フェブリク錠(20mg/日): 尿酸の量を減らす薬.眠前.これまで30mg/日だったが,尿酸値は下がっているので,量を減らすことに.
  • ナボロン錠 35mg/週: 起床時朝食前に服用 (毎週火曜日)

今朝から点滴再開.

昨日の検査結果

主な血液検査の結果:

  • ALT: 132U/L (H)
  • ヘモグロビンA1c: 6.6% (H)
  • 白血球: 4.79 x 10**3/μL (正常値)
  • Hgb: 9.8g/dL (L)
  • PLT: 8.7 x 10**4/μL (L)
  • BLAST(目視): 0.0%
  • 血糖: 109mg/dL

目視によるBLAST*1は消えている.ALTが高くて,肝臓の問題が出始めているかもしれない.ヘモグロビンA1c(HbA1c)*2 が高く,過去1〜2ヶ月の間,血糖が高い時期が続いていたことを示している.

弟のドナー適格性 again 

入院8日目に弟に来院してもらい,医師と骨髄ドナーになることについて議論してもらった.その結果,弟は既往症があり,骨髄バンクの基準では,絶対不適格であることが明らかになってしまった.このため,HLA検査を受ける前に断念した.

しかし,こちらの病院の医師の見解では,骨髄バンクの基準は第3者のドナーとしての基準であって,近親者は別の基準が適用できるとのこと.もちろん,リスクの詳細とHLAの型適合が条件となるが,近親者からの骨髄移植は次のようなメリットがあるそうだ.

  • 臍帯血よりも定着までの期間が短い.臍帯血では24日くらいかかるが,(近親者の)骨髄移植はそれよりも1週間ほど短い期間で定着する傾向がある.定着までの間,免疫がほぼ0になるので,感染症のリスクが非常に高まるので,定着期間は短ければ短いほど良い.
  • 骨髄バンクでは,例え運良く適合するドナーが見つかったとしても,ドナーを長期間拘束することになるため,タイミングのコントロールが難しい.移植の日時を1ヶ月くらい前に確定させなければならず,患者側の条件を維持できないとリスクになる.
  • それに対して,臍帯血バンクはすでに臍帯血があるので,移植のタイミングのコントロールは容易である.

入院15日目

2016年12月26日(月曜日)

転院の朝

急遽,別の病院に転院することになった.理由は追って書く.

入院したことがなかった私に客観的な評価は不可能だが,この病院は本当に居心地が良かった.個室は広く,電話・テレビ・PCやり放題だし.看護師さんは若くて綺麗だし丁寧だし.

無菌床にいるとは言え,まだ厳重管理されていない身で,しかも入院前より体調の良いは状況では,ここの環境は素晴らしかった.

点滴

転院前,最後に以下の点滴を受けた.

スプリセル,プレドニンなどの服薬は,いつもの通り.

転院

新しい病院にタクシーで移動.入院手続きをして,無菌病棟へ.病棟は新しくて,広くて,綺麗.2人部屋で気を使うかもしれない.WiFiが無いのが問題かも.

検査

血液検査を大量に実施.数えきれない本数取られたけど総採血量は僅か60ml.

胸部レントゲン、心電図、肺活量測定を行う.

血液検査の結果,Blast細胞は目視で0.0%になっていてスプリセルの効果が出ている.肝臓の数値が若干悪く,糖尿が出ている.これがもっと悪くなるようだと,ステロイドの量を減らす可能性もあるらしい.

この治療を来年1月中頃まで継続する予定.

入院14日目

2016年12月25日(日曜日)

シャットダウン・プロセス

昨晩から,自分の生存確認する仕組みと,それが失敗した時に起動するスクリプトを書き始めた.

  • cronで毎日起動して,前回の生存確認から時間が経過していたら,URLつきのメールを送る.
  • URLがクリックされたら生存が確認される.
  • 一定期間生存が確認できなかったら,生存していないとみなして,シャットダウン・プロセスを開始する.

まだ生きてる時に誤動作されると嫌だし,いざ起動した時にバグるのは情けない.dry-run ができるように書くにしても,テストしにくいプログラムだな.

さて,シャットダウン・プロセスでは何をするべきか思案中.

  • 家族にメールして,必要な手続きを知らせる
  • ホームサーバーにある不要なデータの消去
  • クラウド上にある不要なデータの消去
  • 友人にメール?Twitter, フェースブックに投稿?嫌がらせだな

こういうサイバー空間の掃除をしてくれるサービスがあってもいいんじゃないのかな.

投薬

薬はこれまで通り服用.肝臓の状況をよくするため次の点滴を受ける.