Ph+ALL日記

フィラデルフィア染色体陽性白血病と闘うIT労働者の記録

生着後の不快

骨髄穿刺 生着後1回目

6月17日に生着してから5日後の6月22日に骨髄穿刺(骨盤に太い針を通して,骨髄を抜いて調べる)*1  を実施.従来の骨髄穿刺では,白血病細胞がどのくらい残っているかが主な関心事であった.今後もそれが最重要であることは変わりがないが,さらに移植した細胞由来の血球と,もともとの自分の細胞由来の血球の割合がどの程度であるかというのが,新しい関心事になる.もちろん,病気がないはずである移植した細胞由来の血球が100%であることが望ましい.

同じ病院で知り合った患者の中には,この自分由来の血球が当初何割といったレベルで残っていたという人もいた.全ての結果が出揃うには1週間ほどかかる.

急性GVHDの始まり

毎日ではないにしろ,時々急に胃が収縮してしまう.ほとんど何も食べていないため,出てくるものは胃液のみで綺麗なものだが,嘔吐には多大な体力が必要だ.普段吐き気はないため,吐き気どめの薬などはまったく無力,効果なしである.吐いてしまえばしばらくスッキリする.

一旦収まった生着熱だが,ここに来てまた熱(場合によっては38℃近い高熱)が出ては下がり,出ては下りの繰り返し.熱が上がる際には寒気がして,布団に潜って震えることになる.

内腿,腕,首,耳あたりに皮疹が出て痒くなる.掻いてしまうと後でひどいことになるというので,掻くのを我慢して保湿剤またはベナパスタ(古くからある抗ヒスタミン系の軟膏)を塗って我慢する.痒くて眠りが浅くなるので,時々抗ヒスタミン剤のアレルギーどめを点滴してもらう.

下痢も相変わらず.胃腸の調子が悪い.どう悪いと表現できないのだが,何も食べたくないし,飲みたくない.何も食べていないにもかかわらず,水下痢が出るという状態.

骨髄移植に比べて臍帯血移植はGVHD (Graft versus Host Disease; 移植片 対 宿主 病) *2の程度が穏やかに済むと言われている.私の状況は殊更ひどく悪いわけではないのだろうが,辛いのは間違いない.

症状の辛い順に,(1) 突然の嘔吐, (2) 発熱, (3) 皮疹の痒み, (4) 下痢.この無限ループがおよそ3週間続いた.

骨髄検査の結果

6月22日に実施した骨髄穿刺の結果は以下の通りであった.

  • 目視検査: 異常なし(白血病細胞は認められない)
  • FISH検査による bcr-abl の存在: negative (1%以下)
  • PCRによるbcr-ablの割合 (IS%値): 0.0335%
  • ドナー由来とホスト由来の割合 (キメリズム *3 ): 2.6% がホスト由来

幸か不幸か,PCRで非常に高精度に白血病細胞の有無が検出できてしまう.まだ白血病細胞が存在していることが確認されたわけだ.ドナーの血球が白血病細胞を含む私由来の血球を駆逐してくれると良いのだが.また,ダサチニブをまた使用することも選択肢となり得る.ただ,ダサチニブは GVHD を悪化させるという報告もあるらしく(好転させるという,真逆の報告もあるらしいが)現時点では「試しに使ってみるか」というわけには行かないのだそうだ.

免疫抑制剤からステロイドに切り替え

免疫抑制剤(サンディミュン)は続けているが,この薬は腎臓に負担が出るようで,クレアチニンの数字が徐々に悪くなってきている.腎臓を保護するための対策として,イノバンという腎臓の血流を増やし,尿を出やすくする薬を静注しているが,それでも数値が徐々に後退している.このため,嫌が応にも,免疫抑制剤を減らしていく必要があるそうだ.

ついに7月8日(土曜日)を最後に免疫抑制剤をやめることになった.しかしGVHDが(私にしてみれば強く)出ているタイミングなので,ステロイドを(治療初期の大量投与に比べれば少量)点滴して,苦痛を緩和する対症療法を取ることとなった.

ステロイドなので,リンパ球を破壊したり,多少の骨髄抑制が生じたり,CMVを活性化する可能性が考えられるが,それは別途対策を取るとして,長く続いた体の辛さを取ってくれることが期待される.

実際,ステロイドが入った7/8の翌朝からは,とても元気になった.熱は我慢ができる程度(37℃程度),皮疹はだいたい収まり,痒みもなくなった.急に食欲まで出て来た.さすがステロイドだ.