強化地固め療法の始まり
あー,気持ち悪い.
今週は入院して以来,最大・最悪・最長の週だった.いろんなことがあって,書くべきことがたくさんあるけれど,そういう時に限って書いている余裕が全くない.
今週2/7火曜日から,1ヶ月間,私の治療の第2フェーズである「強化地固め療法」が開始された.
抗がん剤投与初日(2017年2月7日火曜日)
これから3日間連続で,抗がん剤を中央静脈カテーテル(CV)から投与する.
1日目が一番大量で,以下の薬剤を順次入れていく.
- カイトリル: 抗がん剤の副反応で吐き気が出るのを抑える薬.無色透明.11:00から30分.
- エンドキサン: 抗がん剤.無色透明.11:30から3時間.
- 腰椎から (後述)
- メソトレキセート
- デカドロン
- ダウノマイシン: 抗がん剤.毒々しい赤色.15:00から1時間.
- オンコビン: 医師がCV経由で注入.1分.
このほかに,内服薬として
を朝・昼に分けての服用開始.
事前に以下のような副反応が予想されると教えられていた.
- 食欲不振・吐き気
- 不眠
- 胃部不快感
- 出血性膀胱炎
- 発熱
- 便秘
- 下痢
- 浮腫み・呼吸苦・皮疹
- 手足のしびれ
- 脱毛
- 白血球減少
- 赤血球減少(貧血)
- 血小板減少
ダウノマイシンが真っ赤な色をしており,尿にもこの色が出る.血尿のように見えるかもしれないが,薬の色である.出血性膀胱炎と区別がつきにくい.
腰椎穿刺 (2017年2月7日火曜日)
脳を含む中枢神経は膜に覆われていて,抗がん剤が届きにくい.先月1ヶ月の寛解導入治療で,ステロイドとダサチニブを服用して来た.ステロイドは脂溶性であるため脳膜を透過するが,ダサチニブは水溶性で透過しにくいのだそうだ.脳膜内に白血病細胞が「逃げ込んで」しまっていないか,腰椎穿刺*1を行って,脳膜内に注射器の針を刺して腰椎クモ膜下腔から髄液を採取して検査する.この時同時に,膜内に抗がん剤を注入する.
中枢神経は脳から背骨の中を通っていて,腰の近くでは細かく分かれた「馬尾神経」と呼ばれる形状になっている.腰椎穿刺ではこれを腰骨の間から針で刺す.
エンドキサンの注入中,14:30に開始.ベッドの上に背中を丸めて横になり,医師が場所を確認,消毒して,布をかけられて,麻酔して,針を刺す.麻酔の針を刺す時以外は痛みはない.ほんの10分,15分で終了.1時間ほどは,枕無しで横になって安静にしている.
採取した髄液を見せてもらったが,薄い黄色味がかった綺麗な透明のサラサラの液体であった.重篤な場合これが濁っていることもあるそうだが,見た目に問題はなさそうだ.
同時に次の抗がん剤も注入した.その後特に副反応等は感じられなかった.
- メソトレキセート
- デカドロン
初日が終わって,多少の胃部不快感は感じられるものの,これなら楽勝か?という出だしであった.
ここまで順調.脱毛等の目に見える反応も全くない.
唯一の変化としては,尿が出ない.自覚的には何も問題がないが,前日は3リットル以上の尿量があったのに,この日1日で500ml以下の尿量であった.その結果,午後の体重が前日より3kg増加し,73kg台となった.
抗がん剤投与2日目(2017年2月8日水曜日)
いつもの朝食を,いつものように食べ始めたのだが,胃がもたれている.これまで病院食を全て完食して来た私は,少し無理をして食べてしまったようだ.7割がた食べたところでギブアップ.もっと早めにやめておくべきだったかもしれない.
今日は以下の投与を受ける.
- カイトリル: 10:30から
- ダウノマイシン: 11:00から
- プレドニン (内服): 朝・昼
吐き気とはちょっと違うだが,ひどく胃がもたれる.倦怠感.気力がない.吐きに行くほどの力も出ない.ただただ横になって時間をやり過ごす.頭痛はない.
この日の昼食以降は何も食べられなくなった.持っていたゼリーの類をなめたり,冷たいお茶を飲むだけ.毎日飲んでいた熱いお茶も飲む気がしない.辛い.1日が長い.
尿が出なくて利尿剤を使うかどうか検討していたところ,この日の午後から急に尿量が回復.結局1日で5リットル以上出た.その結果,体重もほぼ元に戻った.人の体重の増減は,だいたい水分なんだな.
抗がん剤投与3日目(2017年2月9日木曜日)
朝から最高に辛い中で,今日も昨日と同じメニューが予定されている.
昨日に続いて,激しい胃もたれ.胃の中に何が残っているのかわからないが,胃が動いておらず,腹の中身が腸に下っていかないような感覚がある.そこで,ダウノマイシンのあとで「プリンペラン」という吐き気どめの静注を14:00くらいから受けた.この吐き気どめは,お腹を動かす作用があるとのことで,胃もたれを解消してくれるかもしれない.
効いたかもしれないし,効いてないのかもしれない.判らないけれど辛いので,夕方18:00からもう一本プリンペランを追加.
いつでも吐けるように枕元にお盆を置いて寝る.朝からほとんど何も食べていないので,吐けるものは大して腹には入っていないのだが.しゃっくりが時々出て止まらなくなる.
医師からは山場は越えたので,吐き気は薬でコントロールして,便秘にならないように注意とのことである.酸化マグネシウム,プルゼニドという下剤を併用して,下痢ぎみに調整してある.
明け方の4時ごろ.ちょうど尿に起きたタイミングで,隣のベッドの若者が「しゃっくり」を始める.朝まで寝られそうもない.何しろ1日が長い.
抗がん剤投与翌日(2017年2月10日金曜日)
今日はもう抗がん剤の投与はない.しかし朝から何も食べられず.胃もたれ感というか,吐き気というか,倦怠感との戦い.
胃の中は空っぽではあるが内服薬も服用.プレドニンは錠数が多い(朝昼11錠ずつ)ので服薬が大変だ.今日からダサチニブ(スプリセル)100mgも追加になった.
午前11:30ごろ,面会時間外にも関わらず,父が来訪.近くの病院に検査に来た帰りだそうだ.小さなパックに小分けになった栗羊羹を持参してくれた.甘くて食べやすくカロリーがあるので,一ついただく.
午後から少し元気が出た気がして,Macを開いてみると,アシスタントから至急事務的な処理が必要な案件がメールされて来ていた.古いメインフレームシステムを使った承認プロセスらしく,パスワードの再設定からスタート.パスワードの再設定にはLotus Notesを使ったワークフローが必要で,その初期化のためのデータベース設定から開始.これは長い道のりだ.MVSにログインするにもMacでのエンターキーの押し方を忘れてしまった.色々試して発見.fn+Returnだった.久しぶりにMVSの端末を叩くもなかなかうまくいかない.アシスタントにガイドをもらいながらなんとか処理を完了.少しだけ気が紛れたかな.
氷枕をもらって頭を冷やしながら,中島みゆきを聴きつつ就寝.